2024年10月9日~11日に”World Employer Branding Day 2024” がオランダはアムステルダムにて開催されました。2020年にも当イベントの取材レポートを掲載しましたが、今年は50ヵ国、800人以上が現地参加されたとのこと。Bedo Consulting代表の田口歩が、一般社団法人エンプロイヤー・ブランディング協会の依頼により現地レポートをお届けします。

World Employer Branding Day HPページより
昨年に引き続き、今年もアムステルダムで開催された当イベントは、エンプロイヤー・ブランディングの実践促進、事例シェアを目的として、2015年から開催されています。世界中のエンプロイヤーブランディング・リーダーや代理店、そしてコミュニティに対して、フレンドリーな環境の中でつながる機会を毎年提供する世界最大の祭典と呼ばれています。
現在、多くの企業が直面している主な課題は、全て人に関わるもの。その為、持続可能で包括的な企業成長を実現する為には、適切な人財を引き付け、維持し「従業員に選ばれ続ける会社になる」こと、つまり「戦略的エンプロイヤーブランディングリーダーシップ」が最も重要です。
近年、世界中の企業が「人こそが最大の資産である」という認識を更に広げており、従業員、顧客、株主に対して真にビジネスの成功を最適化する為には、企業は「人財の体験、文化、そして誠実さ」をビジネスモデルの中心に据える必要があります。
その中で、特に重要な考え方が「EVP(Employee Value Proposition 従業員価値提案)」と「Employee Advocacy(従業員推奨)」。
ご存知の方も多いと思われますが、EVPは「従業員にとって、その企業で働くことの魅力やメリットの総合的な提案」のこと。企業が従業員に提供する報酬や福利厚生だけでなく、職場環境や企業文化、成長機会、仕事のやりがいなども含まれます。
また、Employee Advocacyは「従業員が自発的に自社を外部に対して推奨したり、肯定的な情報を発信する活動」を指します。具体的には、従業員が個人のソーシャルメディアやネットワークを通じて、会社の文化、価値、製品やサービスなどを積極的に紹介したり、良い評判を広めたりすることが該当します。
2024年の登壇企業は、もれなくこの2点を「戦略的エンプロイヤーブランディングリーダーシップ」の基礎に据えて、様々な施策と共に、従業員からの信頼を得ていました。
会場となったデラマール劇場
“World EB Day 2024” 概要
World EB Day ウェブサイト
https://www.worldemployerbrandingday.community/
Day1:10/9(水)9:00-17:00
プレイベント「ワークショップデイ」
国際的なエンプロイヤー・ブランディングの専門家や実務家による、双方向で実践的なワークショップ。同業者同士で、エンプロイヤー・ブランディングにおけるイノベーションと成長を促進する主要なトレンドを共有、学び、議論し、参加者が抱える最大の課題の幾つかを解決する。
https://www.worldemployerbrandingday.community/workshops

World Employer Branding Day Facebookページより (以下、ロゴ入り写真は全て同)
Day2:10/10(木)9:00-17:30
「国際エンプロイヤーブランディングサミット」
基調講演に始まり以下の要素を含めて、22社、28人による、15のプレゼンテーションを実施(1プレゼンテーションは約20分)。
・先進的で実践的な事例研究およびシェア
・代理店/クライアントによるプレゼンテーション
・業界リーダーとの観客参加型Q&Aセッション
・同業者とのネットワーキング
単にプレゼンを座って聴くだけにならないよう、参加者が会場内でより繋がることを意図して、スタンダップコメディアンによる司会や、休憩中のアクティビティなどがふんだんに盛り込まれた。
https://www.worldemployerbrandingday.community/agenda



World Employer Branding Day Facebookページより
19:00-22:00
「国際エンプロイヤーブランディングサミット カクテルパーティー」
8周年を祝うと共に、参加者同士でカジュアルに楽しい時間を過ごす場。
※URLは同上。
Day3:10/11(金)10:00-11:30
「アムステルダム運河クルーズ」
参加者同士で親睦を深める場。
※URLは同上。
筆者は、Day2の 「国際エンプロイヤーブランディングサミット」に参加をしました。
登壇企業は、マッキンゼーアンドカンパニー、プライスウォーターハウスクーパース、アーンスト&ヤングといった世界的な大手コンサルティング企業から、コカコーラユーロパシフィックパートナーズや、ペプシコなどの世界的な大手メーカー、また、カナダの人事マーケティング企業であるセプテンバートゥウェンティフォーやウクライナ・エンプロイヤーブランディングコミュニティなど、小規模ながらも存在感を放つ企業も含めて、欧米を中心とした企業の事例紹介が行われました。
まだEBが欧米ほど浸透していないのか、残念ながらアジア・中東・アフリカ企業の登壇はありませんでした。しかし、将来、日本企業が登壇する日を見据えて、今回は人間性を尊重し、施策が具体的で、一番ヒントになるのではないかと思われるDHLエクスプレス社についてフォーカスしていきたいと思います。
(オランダ在住ビジネスコンサルタント 田口歩)

執筆者
田口 歩・Bedo Consulting代表
(株)ベネッセコーポレーションでの編集業務、オルビス(株)での広報マーケティング、上場準備業務を経て独立。人財育成の一環として、多世代型シェアオフィス(東京港区)の設立や、飲食業界企業の上場支援に携わる。現在はオランダにて、日本企業の事業支援や、アメリカAI企業の事業支援に従事。多世代多国籍コミュニティをオランダに作る「フルサトハウスプロジェクト」のコミュニケーションマネージャー。


