2020年11月4日~5日に”World Employer Branding Day 2020” が開催されました。主催者によると、59ヵ国、1200人以上の参加があったとのこと。当協会の代表もオンラインにて参加したのでレポートをお届けします。
”World EB Day 2020” 概要
例年はヨーロッパのいずれかの都市で行われていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で初のオンライン開催となり、日本からでも容易に参加できました。
(時差の関係で日本時間18時~27時の開催、現地時間は9時~18時)
World EB Day ウェブサイト
https://www.worldemployerbrandingday.community/home
2日間で全63セッションが行われ、世界中から100名以上のEB第一線で活躍している人たちが登壇して実例が聴けたり、EBキャンペーンで使われたイベントや動画の例が聞けるなど、非常に盛りだくさんで、日本にいてネットを見たり本を読んだりするだけではわからないことが数多く得られたのは間違いありません。
登壇した企業の例を挙げると、マイクロソフト、ロレアル、ユニリーバ、レゴ、EY(アーンスト&ヤング、世界的に著名なコンサルティング会社)、インディード、などの有名企業から、地場で活躍する広告代理店や制作会社など、アフリカやハンガリー、イスラエルの企業まで様々でした。
時差の影響もあるかもしれませんが、ヨーロッパの参加が最も多く、アメリカやアフリカ、ロシアなどの参加が見られました。東アジア圏は一切登場せず、一日目のプレイベントでは見た限り日本からは代表のみの参加でした。
2日間のサマリー
【イベント一日目】
2コースに分かれて
・プレイベント「ワークショップ」
・プレイベント「マスタークラス」
が行われ、代表は「マスタークラス」に参加しました。世界中から50名ほどの参加だったとのことです。
EBの世界的第一人者であるBrett Minchington(ブレット・ミンチントン)がリードし、パネルディスカッションが行われ、後半はイギリスのEBコンサルティング会社によって「リトアニアにあるビジネス学習センターのEB(リブランディング)」をテーマに、参加者主体の取り組みがなされました。
【参加者とチャットで交流する主催者のミンチントン(チャットにあいさつを打ち込んだところ、”Hi Ikeda Welcome!”のメッセージが返された)】
時々ブレイクアウトセッション(参加者がオンライン上で複数の部屋に分かれ、相互交流する)も行われ、代表はスペインとルーマニアから参加した女性とEBについて議論を行いました。
【イベント二日目】
二日目が本番で、最初から最後までゲストスピーカーによる講演&質疑応答形式で、数々の事例や取り組みの考え方などが紹介されました。
やはり新型コロナウイルスの影響について端々で語られることが多く、逆に、今の時代だからこそウェブを通じてEBに取り組むべきことが主張されたり、普遍的には、経営陣のEBへの理解がカギを握ること、予算の制約の中でもできることは多くあることが言われたりしていました。
個人的には、レゴの「商品ブランドが強すぎて働くイメージを持ってもらえない問題」の事例と、イスラエルの会社が手がけた「IKEAと身体障がい者の社内を巻き込んだオープンイノベーションの取り組み」が非常に興味深いと感じました。
ちなみに、イベント全体を通じて、世界的な企業のEBマネージャーや支援会社のキーパーソンも含めて、女性が目立っていました。登壇した人も7~8割方は女性であった印象です。理由はもちろんわかりませんが、EBは比較的新しい概念であり、女性活躍や働き方を考える上では、男性だけで取り組む性質のものではないのかもしれません。
マスタークラスで学んだこと
マスタークラスは三部に分かれ、時々個別グループに分かれての意見交換や議論など、オンラインながら積極的な参加が求められました。
・第一部がEBの第一人者でありEB Day主催者であるブレット・ミンチントンが話をリード
・第二部はパネルディスカッション
・第三部はEBエージェンシー(ブランディング支援企業)によるワークショップ
【全体の内容】
第一部~第二部のセッションで話された内容は多岐にわたるものでしたが、EBの基本的な考え方に始まり、新型コロナウイルスをめぐる影響や、EBをめぐる最近のキーワード、労働市場に対するアプローチ、EBを考える上でのフレームワーク、テレワークに関する意識調査など、テーマに沿って具体的な情報が様々に紹介されていました。
第三部では、これまでに英国のジョンソンエンドジョンソン、アクサダイレクト生命、バーガーキング、英陸軍・海軍、アクセンチュア、銀行など様々なEB支援を手がけてきたエージェンシーによるワークショップが行われました。
ワークショップでは実例を題材に、全員でグループディスカッションを行い、分析、アイデア出し、投票までを行うものでした。
【EBセルフチェック!】
マスタークラスの前半では「自社のEBの立ち位置を知る」ために、20の質問項目によって自己診断を行うツールが紹介されました。
(スライドの6~7ページ)
質問は
「EBに関して内部調査を行っているか」
「外部調査を行っているか」
「年間のブランディング計画を策定しているか」
など20項目からなり、EBの実践に関して具体的に問うものになっています。
【セッションで紹介された動画】
セッションの途中で紹介された動画はこちらです。
・コロナによる世界経済への影響、2つのシナリオ
・ナイキ You Can’t Stop Us( “Social Justice”=社会的正義の文脈で紹介された動画。人種差別に関連する)
【ワークショップ】
第三部は、リトアニアにある「ウェスタン・ユニオン」という名称の国際ビジネス学習センターを実例として、EBの実践的アプローチを考えるものでした。
アプローチは
1 知る(データ・行動)
2 考える(インサイト・戦略・プランニング)
3 感じる(ブランド、コンテンツ、デジタル、SNS)
4 実行する(サービス展開)
の順に従ってグループセッションが行われました。
グループセッションの結果、再ブランディングとしてセンターの名称を「ウェスタン・ユニオン・グローバル・イノベーション・ハブ(Western Union Global Innovation Hub)」に変更することが決まりました。
また、ウェブサイトへの流入をどのように発生させるか、SNSはFacabookやLinkedInをどのように使うかなど、具体的な内容まで全員のディスカッションと投票を交えて踏み込んでいたのが非常に印象的でした。
以上、”World Employer Branding Day 2020” の参加レポートでした。
EB協会でも、日本にひとりでも多くの「EB実務者」を増やすことを目標に、今回のワークショップを参考にして実践的なプログラムやイベントを企画していきたいと考えています。