LEGOグループの取り組み
World EB Day 二日目は、全世界のEB実践者による最前線の取り組み紹介や、コロナ禍での取り組み、実際のデータを交えた活動ビフォーアフターなど、50近い登壇セッションが行われました。
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その中で、LEGOグループ(デンマーク本社、登壇者はイギリスのGlobal Talent Acquisition Director)をピックアップします。
老若男女問わず、ほとんど誰もが知っているLEGO。
世界中で認知され、愛されている商品ですが、「働く場」としてのブランド力には大きな問題を抱えていました。
商品のイメージは簡単につくものの、いざ、自分がそこで働くとなるとどんなものか、どのような価値観が大切にされていて、組織文化はどうなのか、まったく理解されずに応募する人が続きました。
実際、社内にはクリエイティブ職やデジタル関連職、営業、エンジニアリング、マーケティングなど多様な職種があるにもかかわらず、そのことはほとんど知られていませんでした。
そのため、これまで採用する人たちは商品イメージのみが先行し、現実とは異なる期待を持って入社してきており、ミスマッチが続き、入社する人の質にも問題が生じていました。
そこで、世界中で働くLEGO社員に対してインタビューを行い、事業や組織文化、働き方、チームや働きがいなどについて詳しく聴きました。
インタビューから抽出されたコンセプトやキーワードをもとに、ファクトブックを作成してネット上で公開し、求職者が必要とする情報に加えて、経営陣、多様性、組織文化、リーダーシップ育成プログラム、持続可能性に対する取り組みなど、LEGOグループの職場について具体的なイメージ形成を図りました。
デザインも、LEGOブロックの色を彷彿とさせるようなカラーパレットで統一し、商品ブランドとの相乗効果をうまく狙っています。
以上に加え、さらに知られていない情報については「オンボーディング・プロセス(入社前後の情報提供や初期の人材育成)」で積極的に情報開示を行い、LEGOグループに対する知識や理解を深めていきました。
採用から入社後の初期対応を、ひとつのコンセプトで筋を通すことで、求職者の立場からすると違和感や不協和がなくスタートできることになり、会社に対する信頼感を増し、エンゲージメント(仕事への熱意)を高める結果につながります。
また、職場の物理的な情報(アクセスや設備など)も積極的に伝え、「ジョブツアー(職場見学会)」も開催して、実際に目で見て、触れてもらう機会を世界中のオフィスで増やしました。
World EB Day全体を通じて何度も発された言葉のひとつが「ショーケース(showcase)」でした。自社内のあらゆる情報を商品のように取り扱い、それを欲しい人たちにガラス張りのオープンにして「見せる」ことを指しています。
お店のショーウィンドウがそのお店の雰囲気を決めますし、入った後の期待感をコントロールするのもショーウィンドウの役割です。そこにどのような情報を並べて見せ、興味がある人に追加情報をどのように提示するか、その具体的なヒントがこのLEGOの事例で得られたように思います。
この取り組みは始まったばかりとのことで、具体的な結果については示されませんでしたが、登壇者によると確かな手ごたえを感じているとのことでした。
最後に、LEGO側の登壇者は実際にやってみて良かったことを次のように紹介しています。
- 職場の同僚を称賛し、社外にも伝える
- 会社の価値観について伝える
- 組織文化と会社の使命・目的をショーケースに並べる
- 社員のエンゲージメントを高め、励ます
- 自分たちのストーリーについて積極的に伝える(ストーリー・テリング)